タンゴのスペイン語辞典 Diccionario Tanguero


O

Obelisco (オベリースコ)

Obelisco

 ふつうの名詞としては、古代エジプトが起源という、先のとがった柱の形をした記念塔のことで、世界各地にあるようだ。
 ブエノスアイレスの「オベリスコ」は、同市の創設400周年を記念して建てられた。ドイツの会社が、わずか2ヶ月の突貫工事で建設し、1936年5月23日が落成式。アルゼンチンの代表的な現代建築家である アルベールト・プレビッシュ Alberto Prebisch (1899 - 1970) が設計した。
 「7月9日」大通り Avenida Nueve de Julio と、コリエーンテス大通り Avenida Corrientes が交差するところの、「共和国」広場 Plaza de la República (パラーサ・デ・ラ・レプーブリカ) にあり、ブエノスアイレスのシンボルといえる存在だ。


Olivari (オリバーリ)

 アカデーミア・ポルテーニャ・デル・ルンファルド Academia Porteña del Lunfardo の創立会員のひとりである ニコラース・オリバーリ Nicolás Olivari (1900 - 66) は、イタリア系で、劇作家、ジャーナリスト(執筆・編集)、小説家、文学とスペイン語の教授、翻訳家だったが、1926年のルンファルド詩集『片足の悪いミューズ La musa de la mala pata 』などで、反逆精神をもった詩人として高い評価を受けている。本名 ディエゴ・アルセーノ Diego Arzeno も使って、少しタンゴの作詞もした。下記の1曲だけが、広く愛されている。


Con el codo en la mesa mugrienta
y la vista clavada en un sueño
piensa el tano Domingo Polenta
en el drama de su inmigración.
Y en la sucia cantina que canta
la nostalgia del viejo paese
desafina su ronca garganta
ya curtida de vino Carlón.

垢じみたテーブルに片肘をついて
視線は とある夢に釘付けになって
イタリア男ドミンゴ・ポレンタは考える
彼の移民のドラマのことを。
そして汚い カンティーナ――その店は
古い故郷のノスタルジーをうたっている――
そこで調子はずれにうたう彼のしわがれたのど
もうカルローン・ワインで焼けたのど。

――タンゴ «La Violeta»(ラ・ビオレータ)1929年 作詞:Nicolás Olivari 改編: Carlos Gardel
*カルロス・ガルデール Carlos Gardel 歌。ここをクリック


otario (オターリオ)

 まぬけ。人はいいのだけれど(あるいは、人が良すぎて)、単純で、すぐだまされてしまう男。詐欺や盗難の被害者(日本語の「カモ」)。女性なら “otaria” (オターリア) と呼ぶ。同義語⇒ gil

*海でくらす哺乳類オットセイやアシカの類を、スペイン語では「オターリア」と呼ぶので、たぶんそれが語源だろうといわれる。たしかにボンヤリしているので、昔の航海者たちに大量虐殺されましたね。


Engrupen tus alhajas en la milonga
con regio faroleo brillanteril
y al bailar esos tangos de meta y ponga
volvés otario al vivo y al reo gil.

おまえのたくさんの宝石はミロンガ (キャバレー) で、人をたぶらかす、
並んだランタンのような豪華なダイアモンドの輝きで。
そして、入り乱れるステップのタンゴを踊るとき
あんたは頭の切れる男をばか者に、やくざ者を間抜けに変えてしまう。

――タンゴ «Che, papusa, oí» (チェ・パプーサ・オイー)1927年 作詞:Enrique Cadícamo
*カルロス・ガルデール Carlos Gardel 歌。ここをクリック


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