タンゴのスペイン語辞典 Diccionario Tanguero


Ñ

ñato (ニャト)

 ふつうのスペイン語で、鼻が低い男。女性なら ñata (ニャタ)。口調により、軽蔑的にもなれば、親愛の情をあらわすときもある。また、顔の造作に関係なく(つまり意味もなく)、その人を軽んずる気持ちだけで、このことばが使われるときもある。
 ガウチョのふざけたことばで、髑髏(どくろ、しゃれこうべ)のことを「ニャト」と呼んだ文献がある。鼻ペチャどころか、鼻がないのだからおかしい(このことばが広く使われたことはなかったと思う)。
 それをふまえて、ボルヘスの短い物語詩で(たぶん彼の創作した言いかた、とわたしは思う) la Quinta del Ñato (ラ・キンタ・デル・ニャト=あの鼻ペチャ男の別荘地) で、ブエノスアイレスのチャカリータ墓地を指す。たぶん(これもわたしの推測だが)タロー(タロット)の「死」のカードには、しゃれこうべが描いてあるので、鼻ペチャ → しゃれこうべ → 死神となったのだろう。参照 ⇒ Triunvirato


ñoqui (ニョーキ)

 ゆでたジャガイモをつぶし(いわゆるマッシュ・ポテトにして)、小麦粉、卵、バターをまぜて、こねて棒状にし、それを短く切ったものをゆでた、ポテトの小さなお団子ともいえる料理。バターと粉チーズをかけて、あるいは トゥコ などのソースをかけて食べる。
 ジャガイモはアメリカ大陸原産だが、この料理法はイタリアの発明で、元来は小麦粉だけで作っていた。イタリア語では gnocchi (ニョッキ)


ñorse (ニョルセ)

 “señor” (セニョール)の逆さコトバ(vesrre)。「紳士」のこと。からかい、あざけりの気持ちで使われる。


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